アパートの外壁塗装は、建物の景観を保ち、耐久性を高めるために欠かせないメンテナンスの一環です。しかし、建物全体の外壁塗装をするには、施工のスケジュールや塗装にかかる費用について検討する必要があるでしょう。
また、実際に施工を計画する際の注意点も気になる方もいるかもしれません。
そこで、今回は、アパートの外壁塗装の費用相場や工事の流れ、工事での注意点、さらには対応できる業者について詳しく解説します。
所有しているアパートの外壁塗装について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
アパートの外壁塗装は必要?
アパートの外壁塗装は、美観を保つだけでなく、建物の寿命を延ばすことにも役立ちます。
外壁が劣化すると、外部の環境からの影響を受けやすくなり、湿気や雨水が内部に浸透して建物自体の構造にダメージを与えてしまいかねません。
また、外壁の劣化により、カビやしみが発生してしまい、入居者の住む部屋にも影響を及ぼしかねません。
そこで定期的に外壁塗装をすることで、外壁は水や風、紫外線から守られます。
これにより、長期的に見ると建物の劣化を防げるので、修繕費用の削減に繋がるでしょう。
また、アパートの場合は入居者の入れ替わりが少なくありません。
部屋を借りる際に「綺麗な建物かどうか」という点は、少なからず外せないポイントでしょう。外壁が汚れていたり、剥がれていると、「中の部屋も古くて汚いのではないか」という悪い連想をされかねません。
そのため、外観の美しさが保たれている建物は、「しっかり管理されている」という印象を持ってもらいやすいので、入居希望者に安心感も与えられるでしょう。
アパートの入居率アップ、イメージ向上のためにも、定期的な外壁のメンテナンスが大切になります。
アパートの外壁塗装の費用相場
アパートの外壁塗装の費用は、建物の大きさや使用する塗料、業者の選定などによって変動します。一般的に、アパートの外壁塗装にかかる費用の相場は以下の通りです。
階数 | 費用 |
2階建てのアパート | 120~300万円 |
3階建てのアパート | 150~400万円 |
これらはあくまで目安であり、実際の費用は現場の状況や使用する塗料の種類、施工業者によって異なります。また、足場の設置費用なども追加になる可能性があり、くわえて高品質な塗料や特殊な塗装技術を使う場合、費用は上昇することがあるので注意しましょう。
アパートの外壁塗装の費用が変わる要因
アパートの外壁塗装の費用は、100万~350万ほどになり、場合によって価格が変動します。
アパートの外壁塗装の費用が変わる要因はおもに、以下の3つです。
- 建物の大きさ
- 建物の階数
- 使用する塗料
それそれについて詳しく見ていきましょう。
建物の大きさ
建物の面積が広ければ、それだけ塗装にかかる手間や時間も増えるため、費用が高くなります。とくに、アパートの外壁は広い面積があるため、塗装にかかる費用も人件費も比較的高額になります。
建物の階数
建物の階数が増えることで、足場の設置や作業員の人数が増え、施工が難しくなります。そのため、階数が多いほど外壁塗装にかかる費用は高くなります。
とくに3階建て以上のアパートでは、高所作業が多くなるため、費用が高くなる傾向にあります。
使用する塗料
使用する塗料の種類や品質によって費用は大きく異なります。
たとえば、一般的なシリコン塗料に比べて、ウレタン塗料やフッ素塗料などは耐久性が高いため、費用が高くなる傾向にあります。
また、塗料の色や特殊な機能(防汚性、防水性、遮熱性など)によっても費用は変動します。
おもな塗料の特徴と費用を以下にまとめました。
塗料の種類 | 特徴 | 耐用年数 | 価格 |
シリコン塗料 | 一般的な塗料 | 7〜15年 | 2,300〜3,500円/㎡ |
ラジカル塗料 | 劣化に強い | 8〜16年 | 2,200〜4,000円/㎡ |
セラミック塗料 | 断熱/遮熱 | 10〜25年 | 2,300〜4,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 汚れに強い | 12〜20年 | 2,300〜3,500円/㎡ |
無機塗料 | 不燃性に優れる | 10〜25年 | 3,500〜5,500円/㎡ |
光触媒塗料 | 光で汚れを分解 | 10〜20年 | 3,800〜5,500円/㎡ |
耐用年数や価格から、シリコン塗料、フッ素塗料、ラジカル塗料などがよく使用されることが多いです。光触媒塗料や、無機塗料は価格が高くなりますが、その分耐用年数も長く、特殊な機能もあるため、外壁塗装の塗りなおしの回数を減らせます。
そのため、長期的に見れば、長持ちする塗料を選べばコスト削減も期待できます。
アパートの困りごとや、外壁塗装の目的に合わせて塗料の選択をしましょう。
アパートの外壁塗装工事にかかる日数
アパートの外壁塗装工事には、通常2週間程度の工期がかかります。
ただし、工事の規模や天候によっては、工期が前後することがあります。
外壁塗装の工期と工期が前後する注意点について詳しく見ていきましょう。
一般的には2週間程度
アパートの外壁塗装にかかる日数は、建物の面積や階数によって異なりますが、一般的には約2週間程度が目安です。
外壁塗装の流れは以下になります。
足場の設置 | 1日かけておこなう |
高圧洗浄 | 外壁の汚れを落とす |
下地処理・養生 | 外壁のひび割れの補修、外壁以外を保護する |
外壁塗装(下塗り) | 1〜2日かけておこなう |
外壁塗装(中塗り) | 下塗りが乾いてからおこなう |
外壁塗装(上塗り) | 中塗りが乾いてからおこなう |
付帯部塗装 | 階段やベランダなどの細かい場所の塗装 |
養生、足場の解体 | 完了したか確認してからすべて撤去 |
以上の流れで外壁の塗装は約2週間程度でおこなわれます。
とくに、階段などの細かい部分の塗装がある場合は時間がかかることもあり注意が必要です。施工の流れを把握して、外壁塗装の工期について打ち合わせをするとスムーズに進むでしょう。
天候に左右されることがある
外壁塗装は天候に大きく左右されます。雨や強風が続くと作業が中断されることがあり、工期が延びる可能性があります。
また、湿度が高いと塗料が乾燥しにくくなるため、工事の進行が遅れることがあります。そのため、雨の多い梅雨の時期や、雪の多い地域の冬場の時期は工事を避けておくと、工期の計画が立てやすいでしょう。
アパートの外壁塗装で押さえておきたい注意点
アパートの外壁塗装をする際にはいくつかの注意点があります。
入居者や周囲の住民への配慮や工事の影響を最小限に抑えるための対策が求められるので、ここでのポイントを押さえておきましょう。
入居者への挨拶
外壁塗装工事を行う際は、必ず入居者への挨拶を行い、工事のスケジュールや注意点を伝えることが重要です。
工事中に騒音や臭いが発生することがあるため、事前に理解を得ておくことで、入居者とのトラブルを避けることができます。大体2週間~1か月前には入居者への連絡をします。
書面や掲示物での事前通達や、可能であれば一人ひとりに対面で挨拶ができればなおよいでしょう。
- 工事の開始日、工事期間
- 一日のうちの作業時間、
- 塗料の臭いによる、洗濯物への影響の注意喚起、
- 何かあった場合の連絡先
などの詳細を通達し、入居者の不安を解消できるような対応を心がけましょう。
また、施工業者の選択に関しても注意が必要です。
近隣の住民の方、入居者の方への配慮ができる施工業者を選ぶことが大切です。ほとんどの業者は事前に近隣への挨拶をおこなったり、入居者の方へも丁寧な対応をしますが、業者によっては挨拶の態度が悪いところもあります。
近隣とのトラブルを防ぐためにも、契約の際には近隣挨拶について訊ねてみるとよいでしょう。
入居希望者の内覧が制限される
外壁塗装工事を行う際には、足場や養生シートが設置されるため、工事期間中は外観が直接見えなくなります。その結果、新規入居希望者が内覧に訪れた際に、建物の外観を確認できないという状況が発生してしまいます。
とくに、物件の外観を重視する入居希望者にとっては、実際の見た目がわからないことで、入居のイメージが湧かない可能性があります。その不安が理由で、最終的に入居を見送るケースも考えられるでしょう。
このようなリスクを避けるためには、春などの繁忙期にアパート全体の外壁塗装を控えることで、入居率の低下を防ぐことができるかもしれません。外壁塗装工事の時期についても計画的におこなうことをおすすめします。
アパートの外壁塗装は減価償却ができる
アパートの外壁塗装は、建物の維持管理の一環として、減価償却の対象となることがあります。税務上、外壁塗装にかかる費用は、一定の期間にわたって分割して計上することができるため、経費として税負担を軽減することが可能です。
減価償却を行う際は、専門家に相談して、適切な手続きを進めるようにしましょう。
アパートの外壁塗装に対応できる業者は?
アパートの外壁塗装は、普通の一軒家とは違い、足場の設置などの大幅な準備や、近隣への配慮が必要になります。このような特殊な施工は得意とする業者に依頼しましょう。
アパートの外壁塗装に対応できる主な業者は以下の2つです。
- ハウスメーカー
- 外壁塗装専門店
それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
ハウスメーカー
新築の建物を施工するハウスメーカーでも、外壁塗装工事に対応しています。
とくに、新築施工したハウスメーカーであれば、建物に関する情報を持っているため、塗装作業をスムーズに進めることができます。また、将来的な修繕やリフォームの際にスムーズな対応が可能となるのもメリットのひとつです。
さらに、ハウスメーカーは独自の保証制度を設けていることが多く、施工後のトラブルや不具合に対しても手厚いサポートを受けられる場合があり、安心して利用ができるでしょう。
外壁塗装専門店
アパートの外壁塗装を外壁塗装専門店に依頼する最大のメリットは、コストを抑えながら高品質な施工を受けられる点にあります。
多くの専門店は自社で職人を抱えているため、中間業者を介さずに直接施工が可能です。その結果、仲介手数料が発生せず、費用を削減できるケースが多いです。
また、専門店ならではの強みとして、施工スピードの速さが挙げられます。自社職人による一貫施工を行うため、伝達ミスが少なく、スムーズな進行が期待できます。とくに、アパートのように入居者がいる建物では、工期が長引くと住民への負担が増えてしまうため、迅速な対応は大きな利点となるでしょう。
さらに、地元の外壁塗装専門店は、その地域の気候や環境に精通していることが多く、適切な塗料や施工方法を提案してくれる点も魅力です。
たとえば、湿気の多い地域であれば防カビ性の高い塗料を選ぶなど、地域特性を考慮した施工が可能なので、不安も少なく利用できるでしょう。
まとめ
パートの外壁塗装は、建物の美観維持や耐久性向上のために欠かせないメンテナンスです。外壁塗装の費用は建物の規模や塗料の種類によって異なり、一般的に2階建てで120~300万円、3階建てで150〜400万円が相場となります。塗料の選択も重要で、耐久性や機能性を考慮して選ぶことで、長期的なコスト削減につながります。
さらに、工期は通常2週間程度ですが、天候によっては延びる可能性があるため注意が必要です。
また、入居者への影響を最小限に抑えるため、事前の挨拶や工事スケジュールの通知が大切です。
それから、塗装中は足場や養生シートの影響で内覧が制限されるため、繁忙期を避けて計画するのが望ましいでしょう。
外壁塗装ができる施工業者にはハウスメーカーや外壁塗装専門店があります。それぞれの特徴を理解して選び、自分のアパートに合った外壁塗装の計画を立てていきましょう。