「外壁塗装で詐欺に遭った」「訪問営業にきた外壁塗装業者に大金をだまし取られた」といったことを聞き、外壁塗装は詐欺が多いというイメージを持っている方も多いでしょう。
外壁塗装は大切な住まいにかかわることであり、高額な費用がかかるため、詐欺に遭わないために手口や詐欺事例を知っておくと安心です。
そこで今回は、外壁塗装の詐欺でよくある手口や実際の事例などを解説します。また、信頼できる業者の見極め方についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
リフォーム工事の詐欺の相談件数は年間約1万件
外壁塗装は、訪問販売を受けて契約したら詐欺だったというケースが多く、国民生活センターに多くのリフォーム工事に関する相談が寄せられています。
なお、国民生活センターの調査では、「屋根工事」「壁工事」「増改築工事」「塗装工事」「内装工事」の合計を「リフォーム工事」としています。
実際に、2022年度は10,076件もの相談がありました。
また、リフォーム工事と点検商法の相談件数の推移は以下のとおりです。
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
訪問販売によるリフォーム工事の相談件数 | 8,786件 | 9,753件 | 10,076件 | 11,861件 |
点検商法の相談件数 | 7,024件 | 7,431件 | 8,133件 | 12,510件 |
相談件数は年々増加傾向にあり、2023年にはフォーム工事と点検商法の両方で1万件を超える相談件数となっています。
たとえば、訪問販売によるリフォーム工事では、「契約をせかされて必要のないリフォーム工事をした」、点検商法では「「今すぐ点検したほうがいい」など言われ、その後リフォームの契約を迫られた」といった相談が寄せられています。
「これまで詐欺に遭ったことがないから大丈夫だろう」
と楽観視していると、思わぬ詐欺に巻き込まれるかもしれません。
外壁塗装を行うときは、詐欺に合わないよう手口や対処法を調べたうえで進めていくことをおすすめします。
外壁塗装の詐欺でよくある手口5選
では、外壁塗装の詐欺でよくある手口を見ていきましょう。
突然訪問してきて外壁塗装を提案する
外壁塗装の詐欺の手口としてよくあるのが、突然自宅を訪問して
「外壁の劣化が進んでいるから今すぐ塗装が必要です」
「外壁塗装をしないと雨漏りになります」
といって、外壁塗装を提案してくるケースです。
本当に外壁塗装が必要なケースもありますが、パッと見ただけで外壁塗装が必要かを判断することはできません。
緊急性が低いにもかかわらず、契約を獲得したいだけで外壁塗装を提案してきている業者である可能性もあるため、不審に感じたらその場で契約しないようにしましょう。
大幅な値引きを提案する
「今日契約していただくと、特別に〇〇万円引き」といった大幅な値引きを持ちかけるのも、詐欺業者の典型的な手口です。
大幅な値引きを提示されるとお得に感じるものですが、最初はあえて高額な料金を提示している可能性が考えられます。
また、外壁塗装には相場があるため、相場よりも大幅に安い金額での工事は低品質な塗料を使用している、工事の工程を省いているといったリスクが高まります。
値引き額だけに注目せず、信頼できる業者であるかを慎重に判断しましょう。
オリジナル塗料を勧める
「特別なオリジナル塗料がおすすめです」といった提案をしてくるのも、詐欺業者のありがちなセールストークの一つです。
オリジナル塗料は汎用品ではないため、成分や耐用年数を確認するのがむずかしく、高耐久・高機能と聞いていても、実際に使用すると早く劣化が見られたというケースも少なくありません。
実際の塗料の性能に合わない塗料代を支払わなければならない可能性があるため、信頼性の高い国内の大手メーカーの塗料を使用している業者に依頼しましょう。
曖昧な見積もりを提示する
詐欺業者は、詳細が書かれていない曖昧な見積もりを提示してくることがよくあります。
たとえば、「〇〇代一式」といった表記で、項目や単価、数量を記載していない場合は注意が必要です。
曖昧な表記の見積もりは、使用する塗料や工程が記載されていないため、手抜き工事をされていたり、追加費用を請求されたりする可能性があります。
契約後の金銭的なトラブルを防ぐためにも、詳細に内容が記載された見積もりを提示してくれる業者を選びましょう。
無理に契約を迫る
詐欺業者は、契約を急がせるために
「今契約しないと大変なことになる」
「すぐに契約しないと割引がなくなる」
といったプレッシャーをかけることがあります。
外壁塗装は高額な費用がかかることであり、本来ならじっくりと検討する時間が必要です。
そのため、顧客の意向を無視して無理に契約を迫る業者は、信頼できるとは言えません。
相場よりも高い金額であることや、評判が悪いなど、業者にとって不都合なことを調べさせないために顧客に検討する時間を与えないようにしている可能性もあります。
信頼できる業者であれば、じっくりと検討する時間を与えてくれるため、無理に契約を迫られる場合は注意が必要です。
実際にあった!外壁塗装の詐欺事例
外壁塗装の詐欺業者は、突然訪問してきて外壁塗装を提案する、無理に契約を迫るなどが特徴であるとわかりました。
では、実際に外壁塗装の詐欺とはどのようなものなのか、実際にあった事例を見ていきましょう。
工事中に高額な追加料金を請求された
外壁塗装を依頼した後、工事が始まった途端に
「予想以上に劣化が進んでいる」
「契約にはない追加の補修が必要だ」
として、当初の見積もりにはなかった高額な追加料金を請求された事例があります。
詐欺業者のなかには、あえて契約時に具体的な工事内容が説明を行わず、後から追加費用を請求する前提で安い見積もりを提示しているケースがあるのです。
追加費用を発生させないためにも、事前に契約書や見積もりを確認し、必要な作業がすべて含まれているかを確認しておくことが重要です。
工事費用全額を持ち逃げされた
依頼者が工事開始前に全額を支払ったところ、業者と突然連絡が取れなくなり、そのまま費用を持ち逃げされた事例もあります。
通常、外壁塗装の工事費用は契約、施工前、施工後といったように支払うタイミングが複数回ある、もしくは工事完了後に一括で支払うのが一般的です。
工事が始まる前に全額支払うよう提案してくる業者は怪しいため、支払条件についてはあらかじめ確認しておくようにしてください。
一緒に点検している間に空き巣に入られた
「外壁の状態を一緒に確認してください」と言われて、業者と確認している間に、業者の仲間に空き巣に入られたという被害事例もあります。
短時間のため鍵をかけない方が多いことを悪用した犯罪です。
短時間でも家のなかに人がいない状況になるときは鍵をかけるようにしてください。
外壁塗装で詐欺に遭わないための有効な対策
実際に起こった事例からもわかるように、外壁塗装ではさまざまな詐欺の手口があります。
そこで、外壁塗装で詐欺に遭わないための有効な対策を見ていきましょう。
会社の情報をしっかりと調べる
外壁塗装で詐欺に遭わないためには、まず施工を依頼する会社の情報をしっかりと調べることが重要です。
会社の所在地や電話番号、創業からの年数などの基本情報だけでなく、口コミや評判を確認することで信頼性を判断できます。
屋根には上らせない
悪質な外壁塗装業者は、外壁をチェックして「深刻な損傷がある」といった嘘の話をして、不要な工事を勧めることがあります。
また、点検を行うフリをして故意に外壁を破損させ、修理を提案してくることもあります。
そのため、業者のことを信頼できない段階で、点検を依頼するのは辞めましょう。「無料で点検できます」といったセールストークを使うところも多いですが、リスクを考えて断るのがおすすめです。
突然訪問してきた知らない業者ではなく、事前に実績や口コミを調べ、自分自身で依頼した業者に点検を依頼すると、トラブルになるリスクを軽減できます。
即日で点検や契約を進めない
無理に契約を迫られ、断りにくいと感じても、即日で点検を依頼したり、契約を進めたりしないことも詐欺を回避する対策となります。
外壁塗装は大切な住まいにかかわる重要な工事であり、慎重に検討する必要があります。
即日に点検や契約を進めようとするのは、考えたり調べたりする時間をなくして冷静な判断をさせないようにするための詐欺業者の手口です。
詐欺業者の思うつぼにならないよう、じっくりと情報収集し、複数の業者から見積もりを取って比較することが大切です。
契約内容を書面に残しておく
口頭でのやり取りだけでなく、契約内容は必ず書面に残しておくことが重要です。
使用する塗料や工事の範囲、費用や保証内容など、細かい項目まで明記された契約書を作成してもらいましょう。
書面で確認しておくことで、後から発生するトラブルや追加料金の請求を防げます。
信頼できる業者の見極め方
外壁塗装では信頼できる業者に依頼することが、詐欺を回避する最も有効な手段であるといえます。
そこで、信頼できる業者の見極め方を解説します。
施工実績が豊富であるか
信頼できる業者を見極める際、施工実績が豊富であるかを確認しましょう。
外壁塗装の施工実績が豊富な業者は、長年にわたって多くの現場で経験を積んでおり、技術力が高く、知識やノウハウも持っている可能性が高いからです。
なかでも、自宅と同じ外壁材や塗料の施工実績が多いところは、より安心して依頼できるのでおすすめです。
時間をかけて点検しているか
時間をかけて丁寧に点検しているかどうかも、優良業者を判断するポイントの一つです。
外壁塗装は塗装面積を確認するだけでなく、現状の外壁の状態を隅々まで確認しなければ、最適な修理や見積もりを提案できません。
そのため、点検方法によりますが、通常、外壁の点検は60分程度かかります。
極端に点検時間が短い業者は、具体的な外壁の状態を確認せず、おおまかな見積書を作成していると考えられます。その場合、追加費用が発生するリスクなどが高いでしょう。
見積書や契約書が詳細に記載されているか
信頼できる業者は、依頼者との認識のズレやトラブルを発生させないために、詳細な見積書や契約書を作成してくれます。
たとえば、契約書では施工不良が起こったときの対応や保証範囲などが細かく記載されているはずです。見積書も同様に、工程や施工範囲、単価が詳細に記載されているのが一般的です。
そのため、曖昧な見積書を提示してきたり、契約書がなかったりするところは、詐欺業者である可能性が高いといえます。
また、口頭で約束を行うのではなく、必ず書面に残しておくことも重要です。
対応が丁寧か
信頼できる業者は、対応が丁寧であることも特徴です。
顧客目線の丁寧なサービスを徹底している業者は、依頼者の質問や疑問に対して真摯に答えてくれます。
さらに、説明が分かりやすい、依頼者の意見や要望をきちんと聞いてくれる、対応がスピーディであるなど、顧客に不安を与えないような対応をしてくれます。
点検・工事中の写真がもらえるか
点検や工事中の写真を依頼者に共有してくれるかも確認しましょう。
外壁塗装は足場を組んで行われるため、依頼者は施工中の様子をあまり確認できません。また、外出中に工事が進むこともあるでしょう。
そのため、顧客が外壁塗装の様子を確認できないことを理解し、安心感を持ってもらうために、点検や工事の様子を撮影し、契約通りに工程が進んでいるのかを報告してくれる業者は丁寧で信頼性が高いといえます。
事前に、点検や工事中の様子を写真で共有してもらえるか確認しておくことをおすすめします。
外壁塗装は信頼できる業者に依頼しよう!
今回は、外壁塗装の詐欺で多い手口や実際の事例などを解説しました。
外壁塗装は特別な資格が不要であり、定価が曖昧であるため、悪質なサービスを行う業者が多い傾向にあります。
そこで、外壁塗装で詐欺に遭わないためにも、よくある手口や事例、信頼できる業者の見極め方などを知っておくことが重要です。
これから外壁塗装をしようと考えている方は、この記事を参考に優良な業者を選び、満足のいく工事を進めてみてください。