コラム 屋根工事

屋根カバー工法と葺き替えはどっちがいい?費用・耐用年数・判断基準を徹底比較

この記事の結論(30秒でわかる要点)

  • 30坪の住宅で、カバー工法は80万〜150万円、葺き替えは90万〜200万円。差額の主因は「既存屋根の撤去・処分費」です。
  • カバー工法は「安いから選ぶ」ものではなく、「下地の劣化がない・少ないときに選べる」ものです。雨漏りがある、下地が腐っている、瓦屋根である場合はそもそも選べません。
  • 2006年9月より前に着工した住宅のスレート屋根は、アスベスト含有の可能性があります。 撤去を伴う葺き替えでは処分費が㎡あたり2,000円前後上乗せされ、カバー工法ならこの費用を回避できます。
  • ただし2022年4月から事前調査結果の行政報告が義務化(改修工事は請負金額100万円以上)、2023年10月から有資格者による調査が義務化されました。カバー工法を選んでも調査義務は免除されません。
  • 横浜市・川崎市・相模原市の木造住宅耐震改修助成は「軽量化のための屋根のふき替え」が対象です。重量が増えるカバー工法は、この補助金とは相性がよくありません。
  • 湘南・三浦など沿岸部では、SGL鋼板の採用が現実的な選択肢です。ガルバリウム鋼板の穴あき保証が「沿岸部から5km」であるのに対し、SGLは「沿岸部から500m」まで保証対象になる製品があります。


目次

そもそも何が違う?3つの屋根リフォーム工法

屋根塗装・カバー工法・葺き替えの断面比較図。塗装は屋根材の表面のみ、カバー工法は既存屋根材の上に新しい防水シートと屋根材を重ね、葺き替えは既存の屋根材と防水シートを撤去して野地板から葺き直す。
図1 3つの工法は「どこまで手を入れるか」が違います

屋根のリフォームには、劣化の進行度に応じて3つの選択肢があります。

① 屋根塗装(塗り替え)

既存の屋根材の上から塗料を塗り直す方法です。屋根材そのものを保護・美観回復する工事であり、防水機能を担うルーフィング(防水シート)や野地板には手が入りません。

  • 費用:30坪で40万〜80万円
  • 効果の持続:10〜15年
  • 適用:スレート・セメント瓦・金属屋根で、割れや欠損がない状態

② カバー工法(重ね葺き)

既存の屋根材を撤去せず、その上に新しい防水シートと軽量な屋根材を重ねる方法です。既存の屋根材が「下地の一部」として残ります。

  • 費用:30坪で80万〜150万円
  • 耐用年数:20〜30年
  • 工期:5〜14日

③ 葺き替え

既存の屋根材とルーフィングをすべて撤去し、必要に応じて野地板を補修・増し張りしたうえで、新しい屋根に葺き直す方法です。屋根を新築時の状態に戻す工事といえます。

  • 費用:30坪で90万〜200万円
  • 耐用年数:屋根材次第で20〜50年以上
  • 工期:7〜30日

④ 番外:瓦屋根なら「葺き直し」という選択肢も

和瓦の場合、既存の瓦を一度おろして、下地とルーフィングだけを新しくし、同じ瓦を再び葺く「葺き直し」が可能です。瓦自体の耐用年数は50〜100年あるため、傷んでいるのが下地だけであればこの方法がコストを抑えられます。

  • 費用:約100㎡で70万〜150万円

費用・工期・耐用年数の徹底比較

3工法の費用と耐用年数の比較。屋根塗装40〜80万円で10〜15年、カバー工法80〜150万円で20〜30年、葺き替え90〜200万円で20〜50年。
図2 費用と「もつ年数」を並べて見る(30坪住宅の目安)

3工法の一覧比較(30坪住宅の目安)

項目屋根塗装カバー工法葺き替え
費用(30坪)40万〜80万円80万〜150万円90万〜200万円
㎡単価5,000〜8,000円8,000〜11,000円15,000〜19,000円
工期7〜10日5〜14日7〜30日
耐用年数10〜15年20〜30年20〜50年以上
下地の点検できないできないできる
廃材処分費なしなしあり(10万〜25万円)
屋根の重量変化なし増える屋根材次第で減らせる
アスベスト飛散リスク低(撤去しない)要対策(撤去あり)
雨漏りが発生している場合不可原則不可可能

坪数別の総額目安

延床坪数カバー工法葺き替え(標準グレード)葺き替え(高グレード)
20坪60万〜100万円60万〜90万円90万〜150万円
30坪80万〜150万円90万〜130万円130万〜200万円
40坪110万〜190万円120万〜170万円170万〜250万円
50坪150万〜210万円200万〜300万円

※葺き替えは税抜表示のソースに基づきます。

「屋根面積 × 単価 + 足場代」で概算する

より実務的な計算式は次のとおりです。

工事内容計算式
標準的なカバー工法屋根面積(㎡)× 11,000円 + 足場代 約20万円
野地板増し張りを伴うカバー工法屋根面積(㎡)× 13,000円 + 足場代 約20万円
葺き替え(アスベストなしスレート)屋根面積(㎡)× 17,000円 + 足場代 約20万円
葺き替え(アスベスト含有スレート)屋根面積(㎡)× 19,000円 + 足場代 約20万円

30坪の2階建て住宅の屋根面積は、おおむね60〜80㎡です。 屋根面積70㎡で計算すると、カバー工法は約97万円、アスベスト含有スレートの葺き替えは約153万円。差額は約56万円になります。

費用の内訳

カバー工法の内訳

項目単価・割合
屋根材施工5,000〜11,000円/㎡
ケラバ・軒・雪止め等の役物3,000〜11,000円/㎡
下地材1,500〜2,500円/㎡
防水シート(ルーフィング)500〜1,500円/㎡
足場600〜1,500円/㎡(または15万円前後)

葺き替えの内訳(30坪の目安)

項目金額
材料費40万〜65万円
工賃27万〜52万円
足場代16万〜28万円
撤去・廃材処分費15万〜25万円

この「撤去・廃材処分費」こそが、カバー工法と葺き替えの価格差の正体です。加えて、野地板の交換が必要になれば3,190円/㎡(税込)が加算されます。

主な屋根材の単価と耐用年数

屋根材㎡単価耐用年数メンテナンス周期
スレート(コロニアル)4,000〜8,000円20〜30年5〜10年
ガルバリウム鋼板5,000〜10,000円25〜40年15〜20年
断熱材一体型金属屋根6,500〜7,500円25〜35年15〜20年
アスファルトシングル約4,800円20〜30年10年前後
軽量セメント瓦・樹脂瓦9,000〜12,000円30〜40年10〜15年
粘土瓦(和瓦)5,500〜15,000円50〜100年ほぼ不要

見落とされがちな重要ポイント
屋根材の下にあるルーフィング(防水シート)の耐久性は約30年です。雨漏りを防いでいるのは屋根材ではなくルーフィングであり、屋根材がまだ使えてもルーフィングが寿命を迎えていれば雨漏りは起きます。カバー工法はこのルーフィングを新設するため、単なる「上から被せる工事」ではなく防水層の刷新でもあります。ただし、その下にある既存のルーフィングと野地板の状態は確認できないままという点が、後述するデメリットの根本です。


カバー工法が「できない」7つの条件

カバー工法は安価で工期も短い魅力的な選択肢ですが、選べる建物には条件があります。

1. 瓦屋根(和瓦・セメント瓦・モニエル瓦)

瓦は表面に凹凸があり、屋根面がフラットではありません。新しい屋根材を密着させて固定できないため、カバー工法は施工できません。瓦屋根の場合は葺き替えか葺き直しになります。

2. 野地板・下地が腐食している

野地板が水分で傷んでいると、新しい屋根材を留め付ける釘やビスが効きません。 施工しても数年で浮き・剥がれが生じます。

3. すでに雨漏りが発生している

雨漏りは、原因箇所を特定して補修しなければ止まりません。上から被せても原因は残ったままです。雨漏りがある場合は、原則として葺き替えで下地から手を入れます。

4. 築40年以上経過している

築年数が長いほど、目視できない下地の劣化リスクが高まります。カバー工法は「賭け」になりやすいため、葺き替えが推奨されます。

5. 過去にすでにカバー工法を行っている

カバー工法は原則1回のみです。3層構造にすることは重量・固定強度の両面から現実的ではありません。

6. 屋根の勾配が足りない

屋根材ごとに最低限必要な勾配が決まっています。

屋根材最低必要勾配
金属屋根(縦葺き)1寸勾配(約5.7度)以上
金属屋根(平葺き・横葺き)3寸勾配以上
スレート3寸勾配(約16.7度)以上
4寸勾配(約21.8度)以上

緩勾配の屋根では雨水が留まる時間が長くなり、雨漏りリスクが上がります。選べる屋根材が金属系に限定されます。

7. 「パミール」など層間剥離が激しい屋根材

パミール(ニチハ製・1996年頃〜2008年製造)は、表面がミルフィーユ状に剥がれる層間剥離を起こす屋根材です。塗装しても塗膜が定着しません。剥離が激しい場合は下地への固定が困難になるため、状態によっては葺き替えが必要になります。

業者選びのポイント
これらの条件を確認せずにカバー工法を提案してくる業者は危険です。 「屋根に上って見ましたか」「野地板の状態はどうでしたか」「屋根材の種類と製造時期はわかりますか」と質問してみてください。答えられない業者に任せるべきではありません。


重量と耐震性——カバー工法で家は重くなるのか

屋根材の1㎡あたり重量比較。日本瓦(土葺き)73kg、日本瓦(瓦桟葺き)48kg、スレート20kg、スレート+カバー工法26.5kg、アスファルトシングル10kg、ガルバリウム・SGL鋼板5kg。
図3 屋根材の重さは最大で15倍近く違います

カバー工法の最大の懸念が「重量増」です。数字で見てみましょう。

屋根材の重量比較

屋根材重量(㎡あたり)
日本瓦(土葺き)約73kg
日本瓦(瓦桟葺き)約48kg
瓦屋根(一般)50〜60kg
スレート(コロニアル)18〜21kg
アスファルトシングル約10kg
ガルバリウム鋼板・SGL鋼板約5kg

カバー工法による重量増

  • 増加量:約6kg/㎡
  • カバー後の合計:23〜26.5kg/㎡
  • 参考:瓦屋根 約60kg/㎡

80㎡の屋根なら、800〜1,200kg(約0.8〜1.2トン)の増加です。トン単位と聞くと重く感じますが、カバー後でも瓦屋根の半分以下という点が重要です。

耐震性はどう考えればいいか

物理的には、屋根が軽いほど建物の重心が下がり、地震時の揺れは小さくなります。ただし、「屋根が重い=地震に弱い」と単純化するのは正確ではありません。 揺れに耐えるのは建物の骨格(耐力壁・基礎・接合部)であり、屋根重量はそのうちの一要素です。

判断の目安は以下のとおりです。

建物の状況推奨
2000年6月以降に建築確認を取得カバー工法でも大きな問題は生じにくい
1981年6月〜2000年5月に建築確認耐震診断を受けたうえで判断するのが望ましい
1981年5月以前(旧耐震基準)重量増は避けたい。耐震診断と軽量化を伴う葺き替えの検討を

旧耐震基準の建物にカバー工法で1トン近い重量を追加することには、慎重であるべきです。 逆に、瓦屋根から軽量な金属屋根へ葺き替える工事は、屋根重量を1/10近くまで減らせるため、耐震性の観点では大きな効果があります。


アスベスト問題と2023年からの新ルール

築20年以上のスレート屋根をリフォームするなら、避けて通れないテーマです。

規制の年表

時期内容
1995年クロシドライト・アモサイトの輸入・使用が禁止
2006年9月労働安全衛生法施行令により、アスベストを0.1重量%を超えて含有する建材の製造・使用等が全面禁止
2021年4月1日改正大気汚染防止法施行。事前調査方法が法定化、調査結果の3年保存が義務化。スレート等のレベル3建材が規制対象に追加。直接罰を創設
2022年4月1日事前調査結果の行政への報告が義務化(原則電子申請)
2023年10月1日有資格者によるアスベスト事前調査・分析が義務化。無資格の調査は禁止

つまり、2006年9月より前に着工した住宅のスレート屋根は、アスベストを含有している可能性があります。 ご自宅の屋根材の製品名と製造時期がわかれば判別できますが、不明な場合は分析調査が必要です。

報告義務が発生する工事の規模

工事の種類報告が必要になる規模
建築物の解体工事解体部分の床面積の合計が 80㎡以上
建築物の改修工事請負金額が税込100万円以上

一般的な戸建ての屋根カバー工法・葺き替えは、金額的にほぼ確実にこの基準に該当します。 報告先は、大気汚染防止法に基づく都道府県等と、石綿障害予防規則に基づく労働基準監督署の両方です。報告義務者は元請事業者で、石綿の有無にかかわらず報告が必要です。

なお、事前調査そのものは規模を問わずすべての解体・改修工事で実施義務があります。

罰則

大気汚染防止法第35条により30万円以下の罰金。法人にも科される両罰規定があります。

撤去費用の相場

項目費用
レベル3(屋根スレート等)撤去3,000〜8,000円/㎡(税抜)
事前調査・分析調査3万〜15万円
戸建て屋根工事の総額目安30万〜60万円程度(足場費別途)

葺き替え時の加算としては、アスベスト含有スレートの撤去で+約2,000円/㎡が上乗せされます。

カバー工法がアスベスト対策として有効とされる理由

カバー工法は既存屋根材を撤去しないため、解体・撤去工程でのアスベスト繊維の飛散リスクを回避でき、特別管理産業廃棄物としての処分費も発生しません。

㎡単価で見ると、葺き替え(アスベスト含有)19,000円/㎡に対しカバー工法11,000円/㎡。その差は約8,000円/㎡にのぼります。

ただし誤解しないでください。
カバー工法を選んでも、改修工事である以上、事前調査の義務と(100万円以上なら)報告義務は免除されません。 「カバー工法だからアスベストは関係ない」と説明する業者がいたら、それは法令理解が不足しています。


神奈川の沿岸部で屋根材を選ぶなら

海からの距離で、選ぶべき屋根材は変わります

ご住所と海岸からの距離をもとに、メーカー保証の対象になる屋根材をご提案します。カバー工法と葺き替えの両方の見積もりを並べてお出しすることも可能です。

ドローンによる無料屋根調査を依頼する

藤沢・茅ヶ崎・鎌倉・逗子・葉山・横須賀・三浦——神奈川県の沿岸部で金属屋根を選ぶ場合、塩害への耐性が屋根材選びの決定要因になります。

ガルバリウム鋼板とSGL鋼板の違い

項目ガルバリウム鋼板SGL鋼板
めっき成分亜鉛+アルミ亜鉛+アルミ+マグネシウム
耐食性基準ガルバリウムの3倍超
穴あき保証(製品例)10年25年
沿岸部の保証対象範囲(製品例)沿岸部から5km以遠沿岸部から500m以遠
価格差(製品例)5,100円/㎡5,200円/㎡

注目すべきは、価格差がわずか100円/㎡である一方、保証条件が大きく異なる点です。

一般的なガルバリウム鋼板製品は「沿岸部から5km以内は保証対象外」とされることが多く、藤沢市・茅ヶ崎市・鎌倉市の市街地の大部分がこの5km圏内に入ります。 つまり、通常のガルバリウム鋼板を選ぶと、多くの湘南エリアの住宅ではメーカー保証が受けられない可能性があります。

対してSGL鋼板の製品では、保証対象外となる範囲が「沿岸部から500m」まで狭まるものがあります。海から500m以上離れていれば保証対象となり、湘南エリアの大半がカバーされます。

沿岸部の屋根リフォームでは、「SGL鋼板ですか、それとも従来のガルバリウムですか」「この住所はメーカー保証の対象になりますか」を必ず確認してください。

断熱材一体型金属屋根という選択肢

金属屋根は「夏に暑くなる」「雨音がうるさい」というイメージがありますが、現在の主流は裏面に硬質ウレタンフォームなどの断熱材を一体化した製品です。

製品メーカー㎡単価重量主な保証
スーパーガルテクトアイジー工業約7,000円5kg/㎡穴あき25年/赤さび20年/塗膜15年
横暖ルーフニチハ6,000〜8,000円(上位品)穴あき25年/赤さび20年/塗膜20年

施工費を含めた目安は、カバー工法で11,000〜13,000円/㎡、葺き替え(非アスベスト)で16,000〜18,000円/㎡、葺き替え(アスベスト含有)で18,000〜20,000円/㎡です。


カバー工法のデメリット6つ

メリットばかりが語られがちなカバー工法ですが、必ず理解しておくべき弱点があります。

1. 屋根の重量が増える

約6kg/㎡の増加。80㎡なら0.8〜1.2トン。旧耐震基準の建物では慎重な判断が必要です。

2. 既存下地の状態が確認できない

これが最大の弱点です。 既存屋根材を撤去しないため、その下の野地板やルーフィングの状態が最後まで見えません。腐食が進行していれば、数年後に雨漏りや屋根の陥没が生じる可能性があります。

対策:施工前に、小屋裏(天井裏)から野地板の裏面を点検してもらうこと。雨染みやカビ、木材の変色がないかを確認できます。これを行わずにカバー工法を勧める業者は避けてください。

3. 次回のリフォーム費用が上がる

カバー工法は原則1回のみ。次のメンテナンス時(20〜30年後)には、二重になった屋根材をすべて撤去する葺き替えが必要になります。撤去量が2倍になるため、通常の葺き替えより30万〜50万円ほど高くなります。

つまり、今回の差額(約50万円)は、次回に先送りされているとも言えます。 ご自宅にあと何年住む予定かによって、この評価は変わります。

ご事情相性のよい工法
あと20〜25年住む予定カバー工法(次回は自分の代でない可能性)
あと30年以上住む・お子様が引き継ぐ葺き替え(トータルコストで有利)
10年以内に売却・建て替えの可能性まず屋根塗装で様子を見る選択も

4. 換気・結露のリスク

屋根が二重構造になることで通気性が低下し、湿気がこもると下地の腐食やカビが進む可能性があります。棟換気(むねかんき)の設置が有効な対策です。見積書に棟換気の項目があるか確認してください。

5. 施工不良による雨漏り

防水シートの重ね幅不足、棟板金の固定不良、谷樋(たにどい)の納まりミスなど、カバー工法特有の施工リスクがあります。工程写真を撮影・提出してくれる業者を選んでください。

6. 太陽光パネルが設置されている場合の追加費用

太陽光パネルが載っている屋根では、パネルを一度取り外し、工事後に再設置する必要があります。

  • 脱着費用:少なくとも20万円以上(足場代別途、保管費・再取付費も加算)
  • 脱着すると、以後のパネルメーカー保証が受けられなくなることがほとんどです
  • パネル下の屋根面は湿気を含みやすく、劣化が進みやすい傾向があります

太陽光パネルをお持ちの方は、屋根リフォームとパネルの更新時期を合わせて計画するのが合理的です。


補助金は「葺き替え」のほうが有利になりやすい

意外に知られていませんが、屋根リフォームで使える補助金の多くは「軽量化のための葺き替え」を対象としており、重量が増えるカバー工法とは相性がよくありません。

神奈川県内の主な制度(2026年度)

自治体制度名補助額屋根工事の扱い
横浜市木造住宅耐震改修補助事業一般115万円/非課税155万円(工事費の4/5以内)「軽量化のための屋根のふき替え等」を明記。屋根工事の限度単価12,100円/㎡
川崎市木造住宅耐震改修助成制度全体改修 一般130万円/非課税180万円「基礎や壁、屋根工事等」が対象
相模原市戸建住宅の地震対策支援費用の1/2かつ上限115万円(高齢者世帯等は最大165万円)耐震改修工事の一部として該当し得る(要確認)
みらいエコ住宅2026事業最大100万円(平成3年以前の住宅)屋根・天井の断熱改修が対象。断熱要件を満たす必要あり

対象住宅の共通ライン

横浜市・川崎市・相模原市とも、「平成12年(2000年)5月31日以前に建築確認を取得/着工した木造住宅」が基準です(相模原市は令和8年度より新耐震基準の住宅も一部対象に拡充)。

ここに重要な符合があります。
「補助金の対象となる年代(2000年5月以前)」と「アスベスト含有スレートの可能性がある年代(2006年9月以前)」は、大きく重なります。 つまり、2000年以前に建てられたスレート屋根の住宅は、

  • アスベスト含有の可能性がある
  • 耐震改修補助の対象になり得る
  • 屋根の軽量化によって耐震性を高められる

という3つの条件が同時に成立しうる、リフォームの判断が最も重要になる住宅です。

補助金を使う場合の注意点

  1. 必ず着工前に申請してください。 工事後の申請は原則認められません。
  2. 耐震診断が前提になります(上部構造評点1.0未満などの要件)。
  3. 予算枠に達すると期日前でも終了します。 実際、神奈川県の省エネ改修補助金は2026年度に早期終了となりました。
  4. 制度内容は毎年変わります。必ず各自治体の担当課へ最新情報をご確認ください。

あなたの家はどっち?判断フローチャート

カバー工法と葺き替えの判断フローチャート。瓦屋根か、雨漏りしているか、野地板が腐食しているか、過去にカバー工法をしたか、旧耐震基準かを順に確認し、最後に居住予定年数で工法を選ぶ。
図4 あなたの家はどっち?上から順に確認してください
【START】屋根の状態を確認する
    │
    ├─ Q1. 屋根材は瓦(和瓦・セメント瓦・モニエル瓦)ですか?
    │       ├─ YES →【葺き替え】または【葺き直し】
    │       │        ※瓦にカバー工法は施工できません
    │       └─ NO  → Q2へ
    │
    ├─ Q2. 現在、雨漏りが発生していますか?
    │       ├─ YES →【葺き替え】
    │       │        ※原因を特定して下地から補修する必要があります
    │       └─ NO  → Q3へ
    │
    ├─ Q3. 小屋裏点検で、野地板に腐食・雨染みがありますか?
    │       ├─ YES →【葺き替え】
    │       └─ NO  → Q4へ
    │
    ├─ Q4. 過去にカバー工法を行ったことがありますか?
    │       ├─ YES →【葺き替え】(3層目は不可)
    │       └─ NO  → Q5へ
    │
    ├─ Q5. 1981年5月以前に建てられた住宅(旧耐震基準)ですか?
    │       ├─ YES →【耐震診断 →軽量化を伴う葺き替え】を推奨
    │       │        ※耐震改修補助金の対象になる可能性
    │       └─ NO  → Q6へ
    │
    ├─ Q6. あと何年、この家に住む予定ですか?
    │       ├─ 30年以上 →【葺き替え】(次回コストを考えると有利)
    │       ├─ 20〜25年 →【カバー工法】が合理的
    │       └─ 10年以内 →【屋根塗装】で様子を見る選択も
    │
    └─ Q7.(カバー工法を選ぶ場合)屋根材は?
            ├─ 海から500m以上5km以内 →【SGL鋼板】を強く推奨
            ├─ 内陸部 →【ガルバリウム鋼板/SGL鋼板】
            └─ 断熱・遮音も重視 →【断熱材一体型金属屋根】

現地調査で必ず確認してもらうこと

  • □ 屋根材の種類と製造時期(アスベスト含有の可能性)
  • 野地板の状態(小屋裏からの点検、可能なら含水率)
  • ルーフィングの劣化状況
  • 棟板金・貫板の固定状態
  • 屋根勾配
  • 建築確認取得時期(補助金の対象年代か)
  • 住所と海岸からの距離(屋根材メーカー保証の対象範囲か)

よくある質問(FAQ)

Q. カバー工法と葺き替え、どちらが安いですか?

カバー工法のほうが安くなります。 30坪の住宅で、カバー工法80万〜150万円に対し葺き替え90万〜200万円が目安です。差額の主因は既存屋根材の撤去・廃材処分費(15万〜25万円)で、アスベスト含有スレートの場合はさらに約2,000円/㎡が加算されます。ただし、カバー工法は次回のリフォーム時に撤去量が2倍になり、葺き替え費用が30万〜50万円ほど上がるため、長期で見た総額は逆転する可能性があります。

Q. カバー工法の耐用年数はどれくらいですか?

20〜30年が目安です。使用する屋根材によって変わり、SGL鋼板や断熱材一体型金属屋根であれば25〜35年程度が期待できます。ただし、これは新設した屋根材の耐用年数であって、その下にある既存の野地板の寿命は含みません。既存下地が健全であることが前提となります。

Q. 瓦屋根にカバー工法はできますか?

できません。 瓦は表面に凹凸があって屋根面がフラットではないため、新しい屋根材を密着させて固定できないためです。瓦屋根の場合は、瓦をすべて撤去して新しい屋根材にする「葺き替え」か、既存の瓦を再利用して下地とルーフィングだけを新しくする「葺き直し」を選ぶことになります。

Q. 雨漏りしている屋根でもカバー工法はできますか?

原則としてできません。 雨漏りは原因箇所を特定して補修しなければ止まらず、上から被せても原因が残ったままだからです。また、雨漏りが起きている屋根は野地板が水分を含んで腐食している可能性が高く、新しい屋根材を留め付ける釘やビスが効かない恐れもあります。雨漏りがある場合は葺き替えが基本です。

Q. カバー工法で屋根が重くなって、地震に弱くなりませんか?

重量増は約6kg/㎡で、カバー後の合計は23〜26.5kg/㎡。瓦屋根(50〜60kg/㎡)の半分以下です。2000年6月以降の建築確認を取得した住宅であれば大きな問題は生じにくいとされます。ただし、1981年5月以前の旧耐震基準の建物では、80㎡で0.8〜1.2トンの重量増は無視できません。 その場合は耐震診断を受けたうえで、軽量化を伴う葺き替えの検討をおすすめします。

Q. 築25年のスレート屋根です。アスベストは入っていますか?

2006年9月より前に着工した住宅のスレート屋根には、アスベストが含まれている可能性があります。 築25年(2001年頃)であれば該当する可能性が高いと考えられます。屋根材の製品名と製造時期がわかれば判別できますが、不明な場合は分析調査(3万〜15万円)が必要です。なお2023年10月以降、事前調査は石綿含有建材調査者などの有資格者が行うことが義務化されています。

Q. カバー工法ならアスベストの手続きは不要ですか?

不要ではありません。 撤去を伴わないため飛散リスクは低く、特別管理産業廃棄物としての処分費も発生しませんが、事前調査の実施義務はすべての改修工事に課されています。 さらに請負金額が税込100万円以上の改修工事では、都道府県等と労働基準監督署の両方への報告が必要で、これは石綿の有無にかかわらず義務です。

Q. 屋根リフォームに使える補助金はありますか?

神奈川県内では、横浜市・川崎市・相模原市の木造住宅耐震改修助成が代表的です。横浜市は「軽量化のための屋根のふき替え等」を対象工事として明記し、屋根工事の限度単価を12,100円/㎡としています。対象は概ね「2000年5月31日以前に建築確認を取得した木造住宅」で、耐震診断による評点1.0未満などの要件があります。重量が増えるカバー工法は、これら耐震補助金とは相性がよくありません。 また国の「みらいエコ住宅2026事業」は屋根・天井の断熱改修が対象です。必ず着工前に、各自治体の担当課へ最新の受付状況をご確認ください。

Q. 沿岸部ではどの屋根材を選ぶべきですか?

SGL鋼板(亜鉛+アルミ+マグネシウムめっき鋼板)をおすすめします。従来のガルバリウム鋼板の3倍を超える耐食性があり、価格差は製品によってはわずか100円/㎡程度です。特に重要なのがメーカー保証の対象範囲で、ガルバリウム鋼板製品は「沿岸部から5km以内は保証対象外」となることが多い一方、SGL鋼板の製品には「沿岸部から500m」まで対象範囲を広げているものがあります。藤沢・茅ヶ崎・鎌倉の市街地は大部分が海から5km圏内のため、この違いは実務上非常に大きい差になります。


まとめ:金額ではなく「屋根の状態」と「住む年数」で選ぶ

カバー工法と葺き替えの選択は、「どちらが優れているか」ではなく「あなたの家がどちらを選べる状態か」という問題です。

  1. 瓦屋根・雨漏り中・下地腐食・カバー済み → 選択肢は葺き替えのみ
  2. 下地が健全で、あと20〜25年住む → カバー工法が合理的
  3. 旧耐震基準・あと30年以上住む・補助金を使いたい → 軽量化を伴う葺き替え
  4. 沿岸部で金属屋根を選ぶ → SGL鋼板とメーカー保証範囲を必ず確認
  5. 2006年9月以前の着工 → アスベスト事前調査は法令上必須

そして最も重要なのは、この判断の前提となる「屋根の現況」を、誰がどう確認したかです。屋根に上らず、小屋裏も見ずに工法を断定する提案は、根拠を欠いています。


この記事について

執筆・監修:スマートホーム株式会社

神奈川県藤沢市に本社を置く、屋根・外壁の完全自社施工リフォーム会社です。湘南エリアの塩害環境における金属屋根の施工実績を重ね、葺き替え・カバー工法・葺き直しのいずれにも対応しています。

  • 建設業許可:神奈川県知事許可(般-7)第93869号
  • 有資格者:二級建築士、板金技能士1級・2級、塗装技能士1級ほか20種以上
  • 加盟団体:神奈川県板金工業組合、赤外線サーモグラフィ雨漏調査協会、藤沢商工会議所ほか計11団体
  • 国土交通大臣指定 住宅瑕疵担保責任保険 登録施工店(JIOリフォームかし保険対応)
  • 神奈川県代表企業100選 認定

ドローンによる屋根の無料調査を実施しています。屋根材の種類・製造時期の判別、野地板の状態確認、海岸からの距離に基づく屋根材のご提案まで、写真をお見せしながらご説明します。カバー工法・葺き替えの両方の見積もりを並べてお出しすることも可能です。

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参考にした一次情報・出典

本記事の費用相場は、複数の業界メディアが公開する価格帯を突き合わせた目安です。実際の金額は屋根形状・立地条件・下地の状態により変動します。屋根材の保証条件は製品・メーカーにより異なるため、採用製品の保証書で必ずご確認ください。制度・法令情報は2026年8月19日時点のものです。



スマートホーム株式会社屋根工事(葺き替え・重ね葺き) 外壁塗装 屋根塗装 雨樋 雨漏り調査 藤沢市公共工事
藤沢大庭第一支店:神奈川県藤沢市大庭5202-1 藤和第二ビル101

電話:0466-41-9312 /0120-580-932

 

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