アパートの外壁塗装は、建物の保護や美しさの維持、建物の資産価値の向上など、多くのメリットをもたらします。しかし、建物全体の外壁塗装をするには、費用や工事中の制約といったデメリットも存在します。
そこで、本記事では、アパートの外壁塗装の必要性、外壁塗装の適切なタイミング、メリット・デメリット、そして費用を抑える方法などについて詳しく解説します。所有している建物の外壁塗装について検討している方は、ぜひ参考にしてください。
アパートの外壁塗装の2つの目的
アパートの外壁塗装の塗りなおしには、おもに「修繕のための外装塗装」と「美観向上による集客目的」の2つの目的があります。
それぞれの目的について詳しく見ていきましょう。
修繕のための外壁塗装
外壁は常に紫外線や風雨にさらされており、時間の経過とともに劣化が進行します。劣化が進むと、塗膜の浮きや剥がれが生じ、内部に水分が侵入しやすくなってしまいます。
これにより、建物の構造部分が腐食し、耐久性が低下する可能性があるため、外壁塗装の修繕は必要不可欠になります。また、外装塗装の劣化がカビや水漏れの原因となってしまい、入居者の住む各部屋にも影響を及ぼしかねません。
適切な時期に外壁塗装をおこなうことで、建物全体を雨風から守り、アパートの老朽化の進行を抑えることができます。また、定期的な修繕をおこなうことで、アパート全体の資産価値も保つこともできるでしょう。
美観向上による集客目的
日ごろから、雨風、紫外線にさらされているアパートの外壁は年月とともに、汚れて色あせてしまいます。外壁の劣化は、見た目の印象を悪化させ、清潔感を損なう恐れがあります。
これにより、入居者や物件を探している人々にマイナスの印象を与える可能性があるでしょう。
そこで、外壁を塗り替えることで、新築時の美しさが蘇り、アパートの好感度向上を期待できます。また、定期的に塗り替えることで、しっかりと管理されている建物だと安心感を与えられ、入居率アップに繋がるでしょう。
アパートの外壁塗装の適切なタイミング
外壁塗装をおこなう適切なタイミングは、建物の状態や経過年数、劣化の兆候などから総合的に判断する必要があります。
アパートの外壁塗装を塗りなおす適切なタイミングは、おもに以下の3つです。
- 新築から10年以上経過したタイミング
- 外壁にひび割れが発生したタイミング
- 雨漏りが発生したタイミング
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
新築から10年以上経過したタイミング
アパートの外壁塗装に使う塗料には耐用年数があり、年数が経過すると劣化が進み、建物の防水性や耐久性に影響を与えてしまいます。
こうした外壁の劣化を防ぎ、アパートの資産価値を維持するためにも、定期的な外壁塗装の塗り直しが必要になります。
一般的に、外壁塗装の耐用年数は塗料の種類にもよりますが、10年前後とされています。そのため、「新築から10年以上経過したタイミング」「外壁塗装を塗りなおして10年経過したタイミング」で外壁塗装を検討することが望ましいとされています。
また、耐用年数は一般的な目安になるため、外壁にひびなどのトラブルがあった際は、すみやかに外壁塗装を塗りなおすことをおすすめします。
外壁にひび割れが発生したタイミング
外壁にひび割れが発生すると、そこから雨水が侵入し、建物内部の劣化を促進する可能性があります。建物内部の劣化を修繕するとなると、大幅な工事や費用がかかってしまいます。
外壁にひび割れを発見した際は、早急に外壁塗装や補修を検討しましょう。
また、塗料がはがれてきているタイミングもその部分から劣化が起こってしまう可能性があります。外壁にトラブルがないか定期的な点検をおすすめします。
雨漏りが発生したタイミング
雨漏りは建物の深刻な劣化を示すサインです。雨漏りの発生源の部分の外壁塗装に劣化が起きてしまっている可能性があり、放置すると、構造部分の腐食やカビの発生など、さらなる被害を招きかねません。
雨漏りが発生した場合は、速やかに専門業者に相談し、原因の特定と修繕を検討しましょう。
アパートの外壁塗装のメリット
外壁塗装を施すことには、以下のようなメリットがあります。
- アパートの寿命を伸ばせる
- 入居率が高まる可能性がある
アパートの外装塗装のメリットについて詳しく見ていきましょう。
アパートの寿命を延ばせる
外壁塗装は、建物を紫外線や風雨から守り、劣化の進行を防ぐ役割を果たします。定期的な塗装により、建物の耐久性が向上し、結果としてアパートの寿命を延ばせます。
また、外装塗装の中には防水性の高いものもあり、シミやカビなども防ぐことが可能です。これにより、建物の骨組みだけでなく、居室の機能性なども維持できるというメリットもあります。
入居率が高まる可能性がある
アパートの外壁は年月とともに、汚れたり、色あせてしまいます。定期的な外壁塗装により、清潔で魅力的な外観を保つことは、アパートのイメージアップに繋がるでしょう。
また、清潔感を保っていることで、管理がしっかりしているアパートだという印象付けもできるため、入居を検討している方に安心感を持ってもらえます。
経費計上で節税を期待できる
補修を目的とした外壁塗装にかかる費用は、修繕費として経費計上が可能です。これにより、所得税や法人税の節税効果が期待できます。ただし、外壁の色変えといった修繕目的でないものは、資本的支出と判断され、減価償却の対象となります。
詳細については、税理士やリフォームに詳しい施工業者に聞いてみましょう。
アパートの外壁塗装のデメリット
一方で、アパートの外装塗装には以下のようなデメリットもあります。
- 外装塗装費用がかかる
- 新規入居希望者の内覧制限がある
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
外壁塗装費用がかかる
アパート全体の外壁塗装には多額の費用がかかります。
建物の大きさや使用する塗料、施工業者によって費用は異なりますが、事前にしっかりと予算を組むことが必要です。
【一般的なアパートの費用目安】
アパートの階数 | 費用 |
2階建て | 120~300万円 |
3階建て | 150~400万円 |
また、追加で足場設置の費用や、修繕が必要な場合は修繕費も発生します。
それから、塗料にもシリコン塗料や光触媒塗料など、用途によってさまざまな種類があります。
参考に塗料の種類と耐用年数、価格についてまとめました。
塗料の種類 | 特徴 | 耐用年数 | 価格 |
シリコン塗料 | 一般的な塗料 | 7〜15年 | 2,300〜3,500円/㎡ |
ラジカル塗料 | 劣化に強い | 8〜16年 | 2,200〜4,000円/㎡ |
セラミック塗料 | 断熱/遮熱 | 10〜25年 | 2,300〜4,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 汚れに強い | 12〜20年 | 2,300〜3,500円/㎡ |
無機塗料 | 不燃性に優れる | 10〜25年 | 3,500〜5,500円/㎡ |
光触媒塗料 | 光で汚れを分解 | 10〜20年 | 3,500〜5,500円/㎡ |
汚れを分解できたり、機能性に優れたものは、価格が高くなってしまいますが、長期的な目で見れば、外装塗装事態の劣化や、建物の汚れを防げるため、修繕費コストを抑えられる可能性があります。
このように、建物の大きさや使用する塗料などでも価格が変わってきますので、アパートの現状や外装塗装の目的に合わせて計画することをおすすめします。
新規入居希望者の内覧制限がある
外壁塗装工事中は足場や養生シートが設置されアパート全体が覆われてしまい、アパートの外観を直接見ることができなくなります。
そのため、新規入居希望者が内覧に来た際に、物件の外観を確認できないという事態が発生してしまいます。
とくに、見た目を重視する新規入居希望者だった場合、外観を確認できないことで不安を感じ、入居を見送ってしまう可能性もあるかもしれません。
もし、アパートの入居率を考慮するなら、引っ越しの多いシーズンはアパート全体の外壁塗装を避けたほうがいいでしょう。
アパートの外壁塗装はどこに頼むべきか
塗装を依頼する際には、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
アパートの外装塗装の際には、近隣の方や入居者の方への配慮も必要となり、大幅な施工になります。
そのため、近隣の方にも配慮ができるような業者に依頼するといいでしょう。
外装塗装の代表的な依頼先を3パターンご紹介します。
- ハウスメーカー
- 工務店
- 外装塗装専門店
それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは施工品質が安定しており、アフターサービスも充実している点がメリットです。住宅に関するさまざまなサービスを展開しているので、外装塗装以外のことも相談できます。
高品質な施工を期待できますが、工賃は他の工務店や、外装塗装業者よりも高くなる傾向があるので注意しましょう。
工務店
地元の工務店に依頼すると、地域に密着したサービスを受けることができ、比較的コストを抑えられる場合があります。
また、工務店では、新築や、修繕、改築などそれぞれ得意とする分野があります。
そのため、外装塗装だけでなく、改築や修繕など幅広いニーズにも応えられるので、劣化で修繕が必要な場合にも心強い業者になるでしょう。
外壁塗装専門店
外壁塗装を専門におこなう業者は、専門知識と技術を持っているため、高品質な施工が期待できます。
建物に修繕が必要な場合、外壁塗装専門店は建物の状態を詳しく診断し、最適な塗料や施工方法を提案できる高い技術を持っているので安心です。
また、直接施工をおこなうため、中間マージンがかからずコスト面を抑えられるメリットもあります。
アパートの外壁塗装にかかる費用を抑える方法
建物全体の外装塗装をするとなると多額の費用がかかってしまいます。
長期的に見れば建物の寿命を伸ばせる外装塗装ですが、なるべく費用を抑えたいところでしょう。
ここでは、アパートの外装塗装にかかる費用を抑える方法を2点ご紹介します。
- 相見積もりを取る
- 自社施工に対応した業者に相談する
それぞれのコツを生かして、信頼できる業者で、アパートの外装塗装を依頼しましょう・
相見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取り、価格や施工内容を比較することで、適正な価格で施工を依頼することができます。とくに、1社のみの見積もりでは相場が分かりにくいため、最低でも3社程度の見積もりを比較するのが望ましいです。
しかし、安すぎる業者に依頼してしまうと管理が不十分で施工ミスが発生してしまう恐れがあります。施工業者を選ぶときは、安さだけで選ばず信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
自社施工に対応した業者に相談する
中間業者を挟まずに、自社で施工をおこなう業者に依頼すると、コストを抑えられる可能性があります。施工業者が直接工事をおこなうことで、仲介手数料などの余計な費用がかからず、総費用を削減できるでしょう。
また、自社施工の業者は施工管理を一貫しておこなうため、工事の進捗が把握しやすく、細かい要望にも柔軟に対応してもらえるメリットがあります。ただし、業者ごとに技術力や実績に差があるため、過去の施工例や口コミを確認し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
まとめ
アパートの外壁塗装は、建物の保護や美観の維持のために大切なメンテナンス作業です。外装塗装を施すことで、建物の寿命を伸ばせ、イメージアップによる入居率の向上を期待できるというメリットがあります。
一方で、多額の費用や工事中に内見がスムーズにいかないなどのデメリットも存在します。
また、外装塗装の費用を抑えるためには、相見積もりを取ることや、自社施工に対応した業者に依頼することが効果的です。適切なタイミングで外装塗装を行うことで、長期的にアパートの価値を維持・向上を目指せるでしょう。
アパートの外壁塗装を検討する際は、ぜひ本記事の内容を参考にしてしてください。